
東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)で今年6月、テロ対策に関する秘密文書が不適切にコピーされる管理不備が見つかっていたことが20日、分かった。東北電力東通原発(青森県)でも、外部からの侵入を感知するセンサーの性能試験や点検を不正に記録していたことが判明。原子力規制委員会は同日、臨時の非公開会合を開いて今後の対応を協議した。柏崎刈羽原発ではテロ対策の不備が相次いで発覚し、規制委が事実上の運転禁止命令を出した経緯がある。
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規制委によると、文書は核物質を守るため厳重保管が必要だが、柏崎刈羽原発では東電社員が必要な手続きをとらずにコピーし、自分の机に保管していた。東電から報告を受け、規制委事務局の原子力規制庁が検査で改善状況の確認を進めている。社外への情報流出は確認されていないという。
ほかにも、原発の警備などに関する秘密文書を協力会社に誤って渡したり、許可を受けていない工具が原発の敷地内に持ち込まれたりしていた。
東北電東通原発では、外部からの侵入を感知するセンサーについて一部の試験をしていないにもかかわらず、別のデータを流用するなどしていた。規制庁の担当者が今年6月の検査で、昨年度の試験記録の日付が全て同じであることを不審に思い、東北電に確認を要請。別の場所に残されていた記録と整合性が取れず不正が判明した。その後の東北電が実施した調査でも点検記録に同様の不正が見つかった。
柏崎刈羽原発では2021年、テロ対策の不備が相次いで発覚。規制委が事実上の運転禁止命令を出した。命令はその後解除され、先月28日には、再稼働に向けた技術的な準備が整った。地元同意が焦点となる中、新潟県の花角英世知事は21日にも再稼働を容認する意向を示す見通しとなっている。










