ウイルス禍前の「あしなが学生募金」活動の様子。硬貨預け入れの際の手数料有料化の流れが広がることを心配する=新潟市中央区(あしなが育英会提供)
ウイルス禍前の「あしなが学生募金」活動の様子。硬貨預け入れの際の手数料有料化の流れが広がることを心配する=新潟市中央区(あしなが育英会提供)

 金融機関を利用すると、お金がかかるようになった。紙の通帳の発行、長い間取引のない口座の継続…。ゆうちょ銀行は硬貨で預け入れる場合、ATMでは手数料が課される。窓口でも一定の枚数以上は手数料が発生する。硬貨を預けて手数料がかかることをどう思いますか? 街の声を聞き、新潟日報「もっとあなたに特別報道班(もあ特)」で意見を募った。(報道部・黒島亮、荒川葉子)

 新潟市中央区の本町商店街。道行く人は高齢者が多く、現金で買い物をする人が目立つ。商店街の八百屋ではスマートフォンの決済アプリに対応しているが、店員の女性によれば、ほとんどのお客さんが現金だという。女性は「小銭を扱う商売だから手数料を取られるのは厳しい」と話す。

 長岡市のゲームセンターで働く20代男性は「店内は100円でプレーするゲームばかりで手数料は経営に響く。(昨年の)新500円硬貨の導入もあって対応にコストがかかり新型コロナウイルス禍でお客が減った中で痛手だ」と語った。

 駄菓子店も小銭の利用が多い。ただ、新潟市秋葉区の「駄菓子や昭和基地一丁目C57」代表の本間満さん(65)によると「釣り銭として出て行くので、硬貨を預け入れることはあまりない」という。

 全国ではキャッシュレスさい銭を取り入れた神社もあるが、新潟市中央区のある神社の禰宜(ねぎ)は「さい銭にはそぐわないのではないか」と話した。

 硬貨で協力する人が多い街頭募金に取り組む人も、手数料の広がりは気がかりだ。新型ウイルス禍で休止していた県内での街頭募金を、18日に万代、古町の両地区で約2年半ぶりに再開する「あしなが学生募金」で活動する長岡造形大の2年生(19)は「手数料の導入で費用負担が増えないか心配」と話した。

 硬貨預け入れの手数料について、ゆうちょ銀行の広報担当者は「将来にわたって金融サービスを維持するために有料化した」と理解を求めた。

 県内金融機関では、第四北越銀行と大光銀行は、いずれもATMでの硬貨の扱いは無料。窓口は第四北越は千枚まで、大光は500枚までは無料だが、それを超えると手数料がかかる。

 募金などで硬貨を集め、フードバンクなどの社会支援団体に寄付している人からは「(慈善目的など)預け入れの理由に応じて無料にしてもよいのではないか」と提案が寄せられた。

 長岡大の米山宗久教授(61)=地域福祉論、社会福祉論=は「金融機関の体力を考えれば手数料などがかかる流れはやむを得ない」とした上で「世代を超えたキャッシュレス決済の一層の浸透が求められる。金融機関も顧客に負担をお願いする以上は、今まで以上にきめ細かいサービスを提供する必要がある」と指摘した。