(c)2025「秒速5センチメートル」製作委員会
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 映画「秒速5センチメートル」は、新海誠監督の2007年のアニメ映画を実写化。ストーリーを大幅に膨らませながらも、なすすべなく時間が流れることへの焦燥感を、原作の空気感を損なわずに描き出す。そして焦りを和らげてくれるかもしれない、人とのつながりの尊さも伝える。

 東京で働く貴樹(松村北斗)は周囲と壁をつくるように生きている。胸に秘めるのはどこかにいる明里(高畑充希)との思い出だ。1991年、小学生の2人は支え合う関係だったが、家の事情で離ればなれに。中学生の時に再会し、桜の木の下で「またここで会おう」と約束した2009年3月26日が近づいていた。

 原作は小学生の頃を起点に時系列で描いたが、本作で...

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