(c)2025「おーい、応為」製作委員会
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 日本を代表する浮世絵師の葛飾北斎には、お栄という絵師の娘がいた。号は葛飾応為。その生涯には謎が多く、北斎から「おーい」とよく呼ばれたため、その号を授かった逸話があるという。

 映画「おーい、応為」は、お栄をヒロインに据え、北斎と共に過ごした半生を軽やかなタッチで描く。自由で大胆なお栄を長澤まさみが好演。堂々とした立ち姿が、江戸後期を舞台とした時代劇に絶妙に映える。

 物語の始まりは1820年。お栄は絵師である夫の絵をこき下ろし、離縁して北斎(永瀬正敏)の家に出戻る。絵の技術では師弟関係の父と娘。文句を言い合いつつも、みすぼらしい長屋で2人暮らしを始める。

 ある時は北斎の弟子の善次郎(高橋海人)を...

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