
2015年8月、講演で安倍首相を批判した村山富市元首相=東京・永田町の憲政記念館
1994年、社会党委員長として47年ぶりに首相に就いた村山富市さんは、内閣発足直後に「自衛隊合憲」を表明した。政策面で「水と油」だった自民党との連立を受け「実態は違憲」との党見解を転換する歴史的決断を下した。保守、革新が対立した「55年体制」が終焉し、日本政治に新たな幕が開いた瞬間でもあった。村山さんは自民政権がなし得なかった業績を残した一方、社会党の衰退を押しとどめることはできなかった。
▽眠れぬ夜
「専守防衛に徹し自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法の認めるものであると認識する」。1994年7月20日、組閣直後の衆院本会議で行われた代表質問。村山さんは「よくお聞きいただき...
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