
新潟日報朝刊で好評連載中の遠藤麻理さんのコラム「なんとかなる」が、デジタルでもご覧いただけるようになりました。デジタル限定で過去のバックナンバーもこちらで順次再掲していきます。
「日本人は人助けをしない」という調査結果が、インターネット上で話題になっています。イギリスのチャリティー団体が発表しているもので、過去数カ月の間に「外国人や見知らぬ人を助けたか」「慈善団体に寄付したか」などを聞いたところ、144カ国中128位で、先進国の中で最も低かったのだそうです。調査項目が日本人になじまないという声もあるようですが、いずれにしろ、名誉な結果ではありませんよね。
では人助けと聞いて、あなたはどんなことを思い浮かべますか?
私の知人に、いつかけても必ず電話に出る男性がいます。それは普通のことだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、彼の場合は、心当たりのない番号でも出るのです。
随分前から詐欺まがいの電話に気をつけるように、知らない番号には出ないようにと言われていますよね。だから私も、「この番号、知らないな」と画面を見つめる彼に「出ないほうがいいよ! 変な電話だったらどうするの?」と注意したことがあります。
でも結局「もしもし」と出るのです。案の定何かの勧誘電話で、「すみません。申し訳ないんですけど、結構ですので。お疲れさまです」と切ります。
「ほら、だから言ったじゃない。なんで全部出るの?」と聞いてみました。すると彼は、「こういう電話って、一日何本かけなきゃいけないってノルマがあったりするんだよ。知らない番号は、もしかしたら知り合いが誰かの電話を借りてかけてきてるかもしれないし。そんなふうに、何か困ってる人からの電話かもしれないだろ」と答えました。
それを聞いて、夜中に彼に電話をかけて仕事の愚痴を聞いてもらったことを思い出しました。...
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