日本総合研究所の西岡慎一主席研究員
 日本総合研究所の西岡慎一主席研究員

 政府が経済対策を閣議決定した。裏付けとなる2025年度補正予算案の一般会計の歳出は17兆7千億円程度となり、2024年度の対策を大幅に上回る。歳出と減税効果を合わせた規模は21兆3千億円程度にも達する。政府は「責任ある積極財政」を掲げ、人工知能(AI)や半導体、造船、エネルギーといった戦略分野への重点投資を通じて、「強い経済」を実現する構えだ。

 中長期的な成長力を高めようとする方向性は妥当であり、最近の株高傾向にそれが見て取れる。

 しかし今回の対策には看過できない点もある。財政規律の観点が十分に反映されていないからだ。柱の一つとなった物価高対応にはガソリン代や電気・ガス料金の補助、電子クーポ...

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