厚生労働省は同じ過ちを繰り返そうとしているのではないか。2013~15年の生活保護費の大幅引き下げを違法とした最高裁判決を巡り、原告らへの補償を一部にとどめる対応策のことだ。

 最高裁は今年6月の判決で、物価下落率を基にした「デフレ調整」による当時の引き下げについて、国の専門家会合の審議を経ていないなどとして違法と判断した。一方、一般の低所得者世帯と生活保護受給世帯の均衡を図る「ゆがみ調整」は不合理ではないとした。

 判決後、厚労省は法学者や経済学者らで構成する専門委員会を設け補償の在り方を議論してきた。

 専門委が報告書をまとめたのを受け、政府は(1)デフレ調整の代わりに、当時の消費実態に合わせ...

残り831文字(全文:1131文字)