原爆投下直後、受刑者らが川に浮いた遺体の収容作業に従事したことなどを記録した「原爆戦災記録綴」
 原爆投下直後、受刑者らが川に浮いた遺体の収容作業に従事したことなどを記録した「原爆戦災記録綴」
 原爆投下直後、受刑者らが川に浮いた遺体の収容作業に従事したことなどを記録した文書。刑務所側がミカンの缶詰を譲り受けた記載がある
 「原爆戦災記録綴」(左)と「広刑記録綴」
 現在も残されている、原爆投下当時の広島刑務所の外塀=8月、広島市

 1945年8月6日の原爆投下で、広島市内は焦土と化した。当時、千人以上を収容していた広島刑務所も全壊し、死傷者は職員を含めて600人を超えたとされる。その数日後、川に浮いた遺体の収容作業に受刑者らが従事したことを記録した文書が、広島刑務所に保管されていたことが分かった。市内中心部の元安川に浮かんでいた遺体は引き揚げられ「火葬された」とある。

 今年は被爆80年。文書には全壊で混乱した刑務所施設の様子も克明に記されている。専門家は「戦時下の刑務所の様子が分かる貴重な資料だ」としている。記録は今秋、刑事政策と矯正を専門とする国内唯一の「矯正図書館」(東京都)でデジタル化された。原本は広島刑務所で保...

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