「サッカー不毛の地」とされた新潟でプロチーム結成計画が動き出したのは1994年だった。アマチュア2チームの選手が合流し、後にアルビレックス新潟となる原型が誕生した。当時はまだ北信越リーグを主戦場とした

▼2年後にリーグを制し、上位のJFL昇格を懸けて全国地域リーグ決勝大会に臨むが、予選で敗れた。飛躍を阻んだプリマハム土浦は、来季からJ1でプレーする水戸ホーリーホックの前身である

▼水戸は新潟より1年遅くJ2に参入した。ほぼ同列の歩みだったものの、新潟が2度J1に上がった間も水戸は昇降格することがなかった。「J2の番人」といわれた水戸が、26年がかりで悲願の昇格を決めた今季最終戦の動画を見た

▼ホームスタジアムの大騒ぎが心にしみた。特定の親会社を持たず、資金力は限られ、外国籍選手もいない。同じ茨城県に鹿島という強豪が君臨する中、チームを推し続けてきたであろう人々が喜びを爆発させていた

▼その光景に元気が湧いた。3年前に新潟がJ1昇格を決めたビッグスワンも忘れられないが、26年分のサポーターの思いはきっともっと重い。地域密着のホームタウン制を敷くからこそだろう

▼新潟は19戦未勝利で今季を終えた。大差の最下位でJ2に陥落する。もちろんJ1の方がいいに決まっている。でも、これから風雪が吹きすさぶ地を拠点に踏ん張る「うちのチーム」なのだ。見に来て良かったと思える試合が重なった先に再び歓喜を味わえる日が来ますように。