遅い夕飯でビールを飲んだ後、風呂あがりにニュース番組を見ていた。不穏な警告音とともにキャスターが地震発生を告げる。青森で震度6強。津波注意報が警報に変わる。おととい夜は東日本大震災が頭をよぎった
▼避難すべき立場に身を置いてみた。もう酒を飲んだ-外は冷えるが歩いて逃げるしかない-いや、津波警報は出ても予想ほどの波高になることはあまりない-7月にカムチャツカ半島付近で起きた地震もそうだった…。都合の悪い情報を過小評価したくなる正常性バイアスが働いた
▼岩手県の75歳女性は「クマの出没が怖く、介助が必要な夫やネコもいるので避難するか迷った」と話していた。共感したが、この女性は娘の手助けで高台に逃げたという。やはりそうでなくては
▼今回初めて後発地震注意情報が出された。この先しばらく、付近で大地震が起きる可能性が高いという。できる限りの備えはしたい。ただ現実に大地震が発生する確率は100回に1回程度で、気象庁も空振りになる可能性が高いとする。これをどう捉えるか
▼東日本大震災の津波の映像は記憶に刻まれている。あの時ああしていたら、こうしていたらと、身内を亡くした人の後悔の言葉に、どれだけ接してきただろう。そのたび痛みを感じてきたはずだ
▼津波の恐れがある時、まずは避難すべしと思えるか。ハザードマップで被災想定を確認してあるか。あの震災を体験した人々が絞り出してくれた言葉を、どう受け止めてきたのか問われている。
