「相互関税」の導入を発表するトランプ米大統領=4月、ホワイトハウス(ロイター=共同)
 「相互関税」の導入を発表するトランプ米大統領=4月、ホワイトハウス(ロイター=共同)
 トランプ米政権による相互関税導入のニュースを伝えるJR大阪駅前のモニター=4月
 横浜港で船積みを待つ自動車=9月
 ブラジル・サンパウロの米領事館前で、米国の関税強化に抗議する人たち=8月(共同)
 レソトの首都マセルにある縫製工場で、米国向け製品の検品をする従業員=7月(共同)
 ケント・カルダー氏

 最近日本で日米関係について講演した際、ある経営者から鋭い質問を受けた。「トランプ米大統領の高関税政策は今後どうなるのか。政権が変わっても関税問題に私たちは直面しなければならないのか」。以来、米国の産業基盤や貿易相手国、そして世界経済全体に極めて重要なこの問いに考えを巡らせている。

 米国の独立宣言から約250年の大半において、貿易は経済のわずかな割合を占めるに過ぎなかったが、関税は主要財源で、1913年に所得税が導入されるまで高関税は通商政策の柱だった。

 ▽重要性は低下へ

 トランプ氏が尊敬する第25代米大統領マッキンリーは、下院歳入委員会の委員長だった頃、多くの輸入品に平均50%の関税を課した...

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