
「矛盾の海へ」
スマートフォンに昔撮った写真が不意に現れ、驚くことがある。撮影した時の感情や意図がすぐによみがえってくるものがほとんどだが、中にはなぜこんな写真を撮ったのか、と首をかしげるものも。でも、実はそんな写真の方が新たな自分を知ることができて面白いのかもしれない。
「見ることは、つねにあやうい」。写真評論家として「見ること」と向き合ってきた著者は、写真にまつわるエッセーや批評をまとめた本書で、「見ること」の難しさを繰り返し訴える。そして、「見ること」を自分のものとして取り戻そうとするのなら、まずは写真を改めて見ることから始めてみては、と助言する。
なぜなら、「脳で見る」人とは違い、「目(レンズ)」し...
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