判決を前に、東京地裁に仲間たちと入廷する田中聡史さん(中央)=2025年7月
 判決を前に、東京地裁に仲間たちと入廷する田中聡史さん(中央)=2025年7月
 向き合う「負」の歴史
 裁判の報告集会でスピーチする田中さん=7月、東京都千代田区
 東京地裁判決後、裁判所前で一部勝訴の報告をする弁護団=7月
 「コンニャクの飾り切り」をモチーフにした木の作品と田中さん=8月、京都市のギャラリー

 田中聡史さん(56)は2000年、東京都立養護学校教員(現・特別支援学校)の図工・美術科で採用された。当時31歳。それ以前は会社員だった。

 現在まで教員として美術を教えているが、実はその間に懲戒処分を合計12回も受けている。理由はいずれも同じ。入学式や卒業式の際、国旗掲揚・国歌斉唱時に起立せず、座っていたためだ。

 「日の丸・君が代」を巡っては、東京都教育委員会が「起立斉唱」を求め、従わない教職員たちを処分し続けている。その数、481件。納得がいかない教職員側は裁判などで争ったが、その結果、教員人生の大半を「被処分者」として過ごすことになった。

 そこまでして不起立を貫く理由は何なのか。それ以前...

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