県立万代島美術館で開催中の企画展「THE HEROES(ザ・ヒーローズ) 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」。刀と太刀で、展示の仕方に工夫が凝らされている=新潟市中央区
県立万代島美術館で開催中の企画展「THE HEROES(ザ・ヒーローズ) 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」。刀と太刀で、展示の仕方に工夫が凝らされている=新潟市中央区

 刀と太刀(たち)はどこが違うの? 新潟市江南区の70代男性が、新潟日報の「もっとあなたに特別報道班」(もあ特)にこんな疑問を寄せた。折しも、新潟県立万代島美術館(新潟市中央区)では企画展「THE HEROES(ザ・ヒーローズ) 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」(新潟日報社など主催)が開催中。刀剣の知識を深めるべく、専門家らを取材した。(報道部・黒島亮)

 辞書を引くと、刀は「切り刺す武器のうち片刃のもの」「刀剣類の総称」、太刀は「長くて大きい刀」とある。太刀は刀に含まれるとの解釈もできそうだ。

 「諸説がありますが、大きな違いは刃の向きです」。万代島美術館の専門学芸員澤田佳三さん(51)が説明する。

 澤田さんや文献によると、太刀は腰に着けた時に刃が下になる。鎌倉時代の武士らが使っていたとされる。馬に乗って戦う時に使いやすかったことなどが理由のようだ。

 一方、刀は腰に差すと刃は上に来る。江戸時代では主流になったという。時代によって移り変わりがあったようだ。

 ちなみに、銃刀法では刀と太刀の違いはない。現在、関係者の間では刀、太刀とも刃渡り60センチ以上のものを指すのが一般的。30センチ以上60センチ未満は脇指(わきざし)、30センチ未満は短刀(たんとう)となる。

 こうした違いを踏まえ、企画展では太刀は刃のある側を下向きに、刀は上向きに展示している。

 澤田さんは「日本に刀がもたらされた時代から、日本刀の形状が確立されていく歴史を、流派や時代ごとに特徴が分かるように展示している。歴史をたどることができる」と語った。

 質問を寄せた後に企画展を鑑賞したという男性は「刀の世界の奥深さを知ることができた」と話していた。

 企画展は19日まで。