「アウシュヴィッツの恋人たち」
 「アウシュヴィッツの恋人たち」

 第2次世界大戦下のポーランド、アウシュビッツ強制収容所ではナチス・ドイツによって110万人以上のユダヤ人らが殺された。本書はそんな過酷な状況で出会い、愛を育んだ男女の生涯を記録したノンフィクションだ。

 もちろん収容者の誰もにそんな機会があったわけではない。2人は特権的な「エリート」だった。16歳のダヴィドは看守らに歌の才能を買われ、娯楽を提供することで特別待遇に。23歳のツィッピはデザインや事務の能力により重用され、収容者を管理する側に回った。

 それでも生活は安全ではなかった。ダヴィドは点呼に遅れたことで懲罰を受け、暴力の標的になった。ツィッピはチフスにかかってガス室行きの瀬戸際に立ったこと...

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