この冬は冬眠しない子グマが県内で多数目撃された。餌不足で親グマとはぐれたり、駆除により死別したり。冬眠の仕方を教わらなかったようだと聞けば、ふびんにも感じる。自然の摂理が崩れていくようで空恐ろしい

▼冬眠しないクマがいるのに取り立てて言うのも何だか変だが、昨日は啓蟄(けいちつ)だった。冬ごもりをした虫たちが目を覚まし、動き出す時節とされる。とにもかくにも厳しい冬は峠を越えた

▼土いじりを生きがいとする人は、心中に宿る“働き虫”がうずうずし始める頃かもしれない。雪が消えたら畑に何を植えよう。構想を練り、あれこれ段取りをつける。思い浮かべるのは陽光、新緑、吹き渡る風…

▼農家でなくても胸弾む気分になったのが、新潟市で先週開かれた農業博覧会「AGRI EXPO新潟」だった。巨大ロボット風のコンバインやドローンはきらめいていた。腰の負担を軽減するボディースーツや送水ホースの分岐具など、進化した優れものに目を見張った。農業ビジネスの裾野の広さに驚く

▼自然と向き合い、収穫の喜びを味わえる農業の魅力が、一層高まるといい。若い世代の参入には、スマート農業の普及が欠かせないだろう。最新テクノロジーの活用には夢がある

▼同時に、ほそぼそと続ける農業に寄り添う機器や資材の新規開発にも期待する。高齢者対応で価格は手ごろに。きっと医療費や介護費の抑制につながる。土と共に生きる人々の営みが、地域の生態系の維持を下支えする。敬意を払いたい。