大国が覇権主義の動きを強め、国際秩序が崩壊の危機に直面している。日本の平和と安全をどう守るかが問われる衆院選だ。

 専守防衛や非核三原則の堅持といった戦後築いてきた平和国家の礎を見直すのか。日本の防衛の在り方は、大きな岐路にある。

 日米同盟は日本の安全保障の基軸だが、世界の軍事的緊張が高まる中、米国は国家防衛戦略で、同盟・友好国に対し、防衛支出などを国内総生産(GDP)比5%に引き上げるように提唱した。

 日本は2025年度にGDP比2%となり、26年度予算案には過去最大の9兆円超を計上した。

 高市早苗首相は、日本記者クラブ主催の討論会で「日本独自に防衛力を整備し、日米同盟を強化したい」と述べた。

 自民党は公約で、年内の安全保障関連3文書改定や防衛装備移転で非戦闘目的の5類型に限るルール撤廃を盛った。タカ派色の強い政権の意向を反映したといえる。

 連立を組む日本維新の会も3文書改定を公約にうたった。武器輸出がなし崩しに拡大する恐れもある。どう歯止めをかけるのか。

 立憲民主党と公明党による新党・中道改革連合は、公約で「積極的な対話と平和外交の一層の強化」を訴えている。

 ただ、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法について「違憲部分の廃止」としていた立民の主張は消え、「存立危機事態での自国防衛のための自衛権行使は合憲」と修正した。

 野田佳彦共同代表は、法成立から10年がたち違憲と言われるような運用がないことなどを理由に挙げている。有権者はすんなりと納得できるだろうか。

 国民民主党は、ミサイル防衛能力の強化を公約に盛り込んだ。

 注視されるのは、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」とする非核三原則の扱いだ。

 中道は公約に核なき世界を目指し、非核三原則を堅持するとした。共産党やれいわ新選組、社民党も三原則を守ることを強調する。

 一方、自民は公約で三原則については触れていないが、高市氏はこれまで3文書改定に伴い三原則見直しを検討するとしている。

 参政党も政策には見直しを明記する。見直せば、周辺諸国や東アジアとの関係に大きな影響を与え、軍拡競争をあおりかねない。

 高市氏が「台湾有事は存立危機事態になり得る」と国会答弁して以来、悪化する中国との関係改善が急がれる。

 自民公約には「開かれた対話を通じ建設的・安定的な関係構築を目指す」としているものの、具体的な方策は分からない。各党の積極的な議論を期待する。