この国が進む方向が問われている選挙だ。国の根幹である憲法にも目を向けたい。
衆議院の解散を表明した会見で高市早苗首相は憲法改正に正面から取り組むと表明した。
その上で、改憲を含めた重要政策の実現には、安定した政治基盤と国民からの明確な信任が必要だと強調した。
自民党と日本維新の会の連立政権合意書では、改憲に関し、9条への自衛隊の明記と、緊急時に政府の権限を一時的に強化する緊急事態条項の追加を掲げる。
両党で条文起草協議会を設置し、2026年度中に緊急事態条項についての改正条文案の国会提出を目指すとした。
憲法改正は自民の結党以来の悲願でもある。保守色の強い高市氏は、この機会に改憲への道筋を付けたいところだろう。
比較的理解を得やすいとみられる緊急事態条項の追加をまず進めて実績を作り、9条の改憲に着手したい狙いが透ける。
今回の選挙結果によっては、与党が憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を衆議院で確保する可能性もある。
一方で、今回の選挙では国民の間で憲法への関心が高まっているとは言い切れない。
共同通信が1月31日、2月1日に行った衆院選での有権者の動向を探る電話世論調査では、憲法改正を重視して投票すると答えた人は全体の3・3%にとどまった。
憲法を巡る各党の主張が有権者に十分に届いているとは言えないのではないか。
今後、改憲の論議を進めようというのであれば、選挙戦を通じて国民に考えを伝える努力が欠かせないだろう。
参院では与党の議席が3分の2に届いていないため、改憲の発議には野党の賛成が必要となる。野党の訴えも注目したい。
中道改革連合は公約に、立憲主義と憲法の基本原理を堅持した上で、責任ある改憲論議を深化させるとした。
国民民主党は緊急事態条項の創設といった改憲策を公約に明記しており、建設的な憲法論議を進めるとしている。
新憲法をつくる創憲を掲げる参政党は改憲勢力だが、緊急事態条項の追加は必要ないとの立場だ。
共産党やれいわ新選組などは護憲の立場を明確にする。
日本を取り巻く国際情勢は近年、大きく変化している。
世界各地で対立と分断が広がり、平和主義や民主主義という価値観が揺らいでいる。今こそ、平和憲法を持つ日本がどう振る舞うべきなのかが、問われているのではないだろうか。
