感動の中心に日本勢がいることが誇らしい。県勢が新たな歴史を開いたと言っていい。

 ミラノ・コルティナ冬季五輪のスノーボード男子ハーフパイプ(HP)で戸塚優斗選手が金、妙高市の専門学校に通う山田琉聖(りゅうせい)選手が銅メダルに輝いた。

 19歳の山田選手は、五輪初挑戦での栄誉となった。今大会での県勢のメダル第1号だ。

 新星の山田選手が表彰台を引き寄せたのは「やりたい技」へのこだわりだろう。持ち味の独創性がイタリアの地で花開いた。上位の誰もが斜め軸の縦3回転技を盛り込む中、型にはまらぬ構成で空高く弧を描いた。

 その山田選手が尊敬の念を込め「化け物」と評したのが村上市出身の前回覇者、平野歩夢選手だ。

 ワールドカップで骨盤などを骨折してから1カ月もたっていない。にもかかわらず、この五輪決勝でも大技に挑み7位になった。

 満身創痍(そうい)のまま五輪の場に立ったこと自体が奇跡だった。松葉づえの生活で先が見えなくとも「可能性が1%でもあるのなら滑りたい」と語っていた。その不屈さに学ぶことは多い。

 スノーボードは、冬季五輪における日本選手団の顔と言える存在になった。中でも2014年ソチ五輪から3回連続で表彰台に上がった平野選手はけん引役である。

 前回大会まではプロ活動を優先したが、この4年は日本チームの活動に参加する機会が大幅に増えたという。ひたむきな姿が人を引きつけ、後輩の手本になる。

 今大会は女子HPでも県勢が決勝に進み、新潟市の開志創造高に在籍する16歳の工藤璃星(りせ)選手が5位、妙高市出身の冨田せな選手が9位だった。

 支えになっているのが本県の練習環境だ。24年に平野選手の地元に設けられたトレーニングセンターは、夏でも雪上に近い感覚で練習することができる。

 山田選手が通う妙高市の専門学校には全国から有力選手が集う。本県がスノボ王国への道を着々と進んでいるといえる。

 HPは技の進化がすさまじい。勝ち続けるのは容易ではないだろう。競技に打ち込める環境整備が大切になる。

 決勝後、山田選手は「4年後もこの舞台に立てたらいい」と意欲を見せた。平野選手も「これから先につながっていくいい経験をさせてもらった」と語った。歩みを止めぬ気概が頼もしい。