長期に及ぶ多額の不正が明るみに出た。保険業界の根幹である信頼を失墜させる問題だ。

 顧客を裏切った責任は重い。徹底的な原因究明と企業体質の改善が不可欠だ。

 外資系生命保険大手のプルデンシャル生命保険の社員ら約100人が、顧客に架空の投資話を持ち掛けるなどして、金銭をだまし取ったり借りたりする不適切な行為を繰り返していた。

 期間は2025年までの30年以上に及び、被害者は約500人に上る。社員らは計約31億円を不正に受け取り、このうち約23億円を弁済していない。これだけ長期、大規模な被害は異例である。

 中には「金銭を預託してもらえれば、元本が減るリスクを負うことなく高配当を得ることができる」などと持ち掛け、金銭を詐取した例もあった。通常あり得ない条件であり、顧客の信頼に付け込んだとすれば許されない。

 金融庁は事態を重くみて、保険業法に基づく立ち入り検査に乗り出している。

 プルデンシャル生命では24年、投資運用名目で顧客から約7億5千万円を預かっていた元社員が詐欺容疑で逮捕された。逮捕を機に顧客への確認を進めた結果、問題の広がりが分かった。

 一連の問題で引責辞任した間原寛前社長は先月の記者会見で、過去に顧客から苦情があったものの「個別の事案と受け止め、会社の構造的な問題と捉えていなかった」と述べた。危機意識が薄かったと言わざるを得ない。

 社は10日に、原因究明と再発防止策づくりに当たる外部の専門家による第三者委員会を設置したと発表したが、問題公表から約1カ月を要した。当初は第三者の調査自体にも否定的で、対応は後手に回っている。

 顧客からの補償申請は9日までに約300件あり、社が把握していなかった案件も含まれたという。申請を待つだけでなく、被害を掘り起こす必要があるだろう。

 問題について、プルデンシャル生命は、営業社員の収入のほとんどが保険契約の獲得状況次第となる報酬体系を一因とした。

 好業績をもたらす営業社員は社内で過度に尊重され、管理が希薄だった。一方、契約が得られなければ生活に困るほどの賃金しか得られず、それも社員が不正に走る要因になったとしている。

 今後、営業社員の行動把握の強化や、一部を固定給で支払う報酬体系とするなど対策を検討する。抜本から見直しが必要だ。

 保険業界では近年、日本生命保険などで代理店への出向者による情報持ち出しといった問題が相次いでいる。

 保険会社が預かっているのは、人々がもしもの時に備えて託した金銭である。その重みを認識し、問題の根を絶たねばならない。