日本のエネルギー政策はどうあるべきか、立地地域の安全は守られるのか。県民にとって関心の高い論点であるはずだ。衆院選最終盤を迎えても活発な議論がないのは残念でならない。

 本県の東京電力柏崎刈羽原発6号機は、衆院解散直前の1月21日に再稼働した。国内で稼働する15基目に数えられた。

 しかし制御棒に関係する不具合のため、わずか1日で停止に追い込まれた。東電は原因特定に手間取った。再起動は週明けになりそうだ。原子力を扱う難しさが浮き彫りになったといえる。

 静岡県にある中部電力浜岡原発では、信頼を覆す不正が発覚した。中部電が耐震設計に関わるデータを不正に操作していた。

 今衆院選は、原発と向き合う機会にするべきである。

 政府は、脱炭素に資することを理由に原発回帰を鮮明にしている。デジタル化の進展に伴う電力需要増加の見通しが背景にある。

 原油などを海外に依存する日本のエネルギー安全保障の脆弱(ぜいじゃく)さを補うために原発の必要性が挙げられることもある。

 昨年2月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、2040年度の電源構成に占める原発比率を24年度の約9%から2割程度に引き上げた。実現には30基以上を動かす必要がある。

 再稼働は、与党の自民党と日本維新の会だけでなく、立憲民主党と公明党による新党・中道改革連合も容認する。立民は党綱領に原発ゼロを掲げるが、新党は現実路線にかじを切った。

 自民、維新のほか国民民主党や参政党も次世代型の開発を政策に盛り込んだ。

 共産党や、れいわ新選組、社民党は原発ゼロを掲げる。

 東日本大震災に伴う東電福島第1原発事故から15年たっても避難先から戻れない人たちが多くいる。この現実を直視することが、これからのエネルギー政策に関する議論のスタートにあるべきだ。

 事故当事者の東電が運転する柏崎刈羽に対しては、安全性や避難の実効性に対する住民の懸念がなお根強い。県が昨年実施した県民意識調査では再稼働を巡る賛否は拮抗(きっこう)していた。

 意見が割れているからといって候補が原発への言及を控えては、議論は深まらない。求められるのは、県民の不安や疑問を受け止める候補者の姿勢だろう。

 太陽光発電などの再生可能エネルギーとの兼ね合いも活発に議論してもらいたい。

 電力消費地である首都圏の人々が立地県の課題に思いを巡らす選挙戦になることが望ましい。本県での議論が低調では心もとない。