誰もが利用する、暮らしのセーフティーネットだ。持続の方策を、負担と給付の両面から探らなければならない。

 各党には国民の痛みを伴う政策も率直に語り、理解を広げる議論を求めたい。

 高齢化で医療や介護の費用が膨らみ、社会保険料が増している。

 国民所得に対し、年金や健康保険などの社会保険料が占める割合を指す社会保障負担率は、2025年度の見通しが18・0%と、15年度の17・1%、05年度の13・8%から増加傾向が続いている。

 高齢者の数は40年ごろにピークとなるため、社会保険料は今後も増える見込みだ。制度を見直さなければ、主な支え手である現役世代の負担は一層重くなる。

 衆院選で各党は負担軽減のアピールに力を入れる。懸念するのは、それを補う財源について十分語られていないことである。

 一例が消費税の減税策だ。消費税は社会保障の重要な財源となってきた。消費税を飲食料品だけゼロにした場合でも、年間約4兆8千億円の減収が見込まれる。

 原資の大幅な減少は社会保障制度を揺るがす恐れがある。実効性のある財源を同時に示さなければ、責任ある公約とは言い難い。

 負担軽減が、医療や介護のサービスといった給付の質や量にも影響し得る点にも留意したい。

 自民党と日本維新の会は、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す」と連立政権合意書に明記している。

 政権は、医療費の自己負担を一定に抑える「高額療養費制度」について、患者負担の月額上限を8月から引き上げると決めた。市販薬と効能などが似たOTC類似薬は、来年3月から追加料金を求める方針が決まった。

 高齢者の窓口負担も、年齢を問わない応能負担に変える方向で検討を進めている。

 一連の改革で、窓口負担が増える人が出てくる。病気を抱える人や高齢者の受診控えを不安視する意見も上がっている。

 どのようなサービスを望むか、そのためにどの程度の負担が可能かを有権者が判断できるように、各党は政策の長期的なメリット、デメリットを語るべきだ。

 衆院選の公約で、自民や中道改革連合は、中低所得者の手取りを増やす「給付付き税額控除」に言及している。

 維新や国民民主党、共産党、れいわ新選組、参政党などは社会保険料の軽減を訴える。

 社会保障分野は地域医療の維持、医療・介護現場の人手不足など多くの課題を抱える。有権者には自身や家族の問題として、各党の訴えを見極めてもらいたい。