戦火が絶えず、国際秩序が揺らいでいる。こういう時だからこそ、「平和の祭典」の理念を改めてかみしめたい。
イタリアでミラノ・コルティナ冬季五輪が開幕し、熱戦がスタートした。選手たちの躍動が、世界中の人々に感動と勇気を与えることだろう。
今大会の特徴は、四つのエリアに分散した広域開催だ。開会式もミラノをメインに、他の会場群でも選手が行進する異例の形式となった。「調和」のコンセプトを掲げ、世界平和への祈りを込める。
しかし、今大会も国際政治が影を落としていることは残念だ。
国際オリンピック委員会(IOC)は、ウクライナに侵攻するロシアと同盟国ベラルーシの選手には国を代表する形での参加は認めず、個人の中立選手としての参加を認めた。
一方でパレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルの選手は無条件で参加できる。「二重基準」と批判が出るのもうなずける。
選手村には、IOCが提唱する「五輪休戦」を願う壁が設置された。国連総会は昨秋、五輪休戦を決議している。
紛争当事国は、休戦実現へ努力するべきだ。
警備支援のため、米国の移民・税関捜査局(ICE)の派遣はイタリアで反発が広がっている。
地球温暖化の影響が懸念される。会場では大量の人工雪が使われる。雪の製造に必要な大量の水を確保するための貯水池が造られた。電力消費と合わせ環境への負荷が大きい。
期待したいのは日本選手勢の躍進だ。前回の北京大会は冬季最多の18個のメダルを獲得した。それを上回ることが目標だ。
本県勢は4種目で7人がメダルに挑む。連覇を狙うスノーボード男子ハーフパイプ(HP)の平野歩夢選手は、大会直前の負傷が心配される。
スノボ女子HPで前回銅メダルの冨田せな選手は開会式で旗手に選ばれた。初出場となるフィギュアスケート女子・中井亜美選手らの活躍も楽しみだ。
どの選手も悔いのない戦いで、県民を活気づけてもらいたい。
あってはならないのが選手への誹謗(ひぼう)中傷である。
日本オリンピック委員会(JOC)は交流サイト(SNS)などの監視を強化する。選手たちが最高のパフォーマンスができるよう万全の対策を講じてほしい。
