笹だんごを手にポーズを取る「LOCA!」のうったまー監督
笹だんごを手にポーズを取る「LOCA!」のうったまー監督

 第4回新潟国際アニメーション映画祭で新たに創設した中編映画の「Indie Box(インディー・ボックス)」コンペティション部門に選ばれた「LOCA!(ロカ)」。交流サイト(SNS)などで集まったアニメ映画制作に情熱を燃やす学生たちが、現在主流のデジタル作画を取り入れず、アナログ作画の魅力を存分に引き出した意欲作だ。うったまー(内谷祐太)監督(23)に作品への思いなどを聞いた。

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──学生クリエイター集団「スタジオ三号車」が制作を担っています。

 「LOCA!」をつくるためだけに結成された総勢35人のチームで、2024年1月にスタートしました。プロデューサーの竜崎(彩威さん・22歳)から声をかけてもらい、ちょうど私も短編アニメの構想を練っていたタイミングだったので参加しました。監督2人体制(みゃの=宮本偉恩=監督・23歳)で取り組み、最終的な判断は任せてもらいました。

──緑に覆われている荒廃した世界が作品の舞台となっています。

 作品の最大のメッセージは「世界を肯定的にみられるようにする」です。生活の中には、きれいなものだったり、感動できるものだったり、見過ごされてしまいがちな、ふとした良さがあふれています。荒廃した世界で生きる主人公のハルとタモを通じて、作品を見た人たちの生活も、すごく魅力的なものにあふれているんだよと再認識してほしかったという意図があります。

──美しい風景描写が特徴的ですね。主人公の2人が、使われていない電車と遭遇するシーンが特に印象的です。

 観客が作品の世界観に入り込むのではなく、主人公と共に生活の中にある良さを、再認識して楽しんでもらうために設計しました。電車を見つけるシーンでは、まるで一緒にいるかのようなローアングルのカットで、これから冒険が始まる高揚感を演出しました。ここでインパクトをガツンと残すことで、電車で旅するアニメだと説明をギュッと集約しました。

──主人公のかわいらしいキャラクターと写実的な風景が、不思議とマッチしていますね。

 観客が自分の生活とリンクするには、風景の写実的な具体化が必要だと考えました。ただ、キャラクターも同じように書き込むと、画面でけんかをするので、粗密のバランスを意識してつくりました。アナログ作画で絵の具を使ってセル画を描きました。商業アニメの大部分がデジタルを採用していますが、アナログで描くことで、画面の説得力が格段に違うんですよ。その魅力を生かしたいと思いました。

「LOCA!」のうったまー監督

──作品では、さまざまな風景が登場しますね。

 ロケハンで、日本中を車で巡った際にストックした「日常のふとした良さ」がちりばめられています。特に作中の一番好きなシーンは、犬が線路脇にいるパノラマカットです。これは新潟県内がモチーフです。ロケハンで夏に訪れ、無人駅と草が生い茂る線路が印象に残っています。難しい構図を画面に収めることができたので、表現的に面白いことができ、納得のカットです。

──コンペティションに選ばれた感想を教えてください。

 昨年(第3回)は映画祭の企画での出品でした。今回は正式な選出で、戻ってこられたことをうれしく思います。ハルとタモは似ている部分がたくさんあるキャラクターです。わちゃわちゃと騒いでいる2人を楽しんでください。

◎うちや・ゆうた 2002年、神奈川県出身。背景美術志望の学生アニメクリエイター。複数のアーティストのMVを手掛けつつ、自主制作で美術やアニメ等の制作も続ける。荒廃した世界観を描くことを得意とし、独自の作風が評価されている。今作が初監督作品。

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〈次回の上映〉

◆【24日 16:00】(Indie Boxコンペ)Bプログラム上映(シネ・ウインド)

「LOCA!」(日本/2025年/21分/監督:うったまー、みゃの)

「LOCA!」©スタジオ3号車/2025

 荒廃した世界で生きる2人の少女、ハルとタモ。住む場所を転々としながら気ままに暮らしていたが、ある日長い階段の先で古びた電車を見つける。好奇心の赴くままに乗り込むと、その電車は偶然にも動き出した-。SNSを通じて集まった総勢35名の学生クリエーター集団「スタジオ3号車」による短編アニメーション。