東日本大震災で被災した玩具を修復する元興寺文化財研究所の雨森久晃さん=1月、奈良市
 東日本大震災で被災した玩具を修復する元興寺文化財研究所の雨森久晃さん=1月、奈良市
 宮城県岩沼市が修復を依頼した「荷鞍」。上は修復前(元興寺文化財研究所提供)
 岩手県陸前高田市が修復を依頼した漁具「ハムドウ」。上は修復前(元興寺文化財研究所提供)

 奈良市の元興寺文化財研究所には、全国からさまざまな文化財の修復依頼が舞い込んでくる。東日本大震災など災害で被害に遭った民具や絵馬といった民俗文化財の修復も手がけており、「文化財の総合病院」としても知られる。造形や破損状態に一つとして同じものがない故郷の宝に「治療」を施す。所蔵者の思いに寄り添いながらの地道な取り組みが続く。

 1月下旬。研究所の工房に、真剣な表情で机に向かう文化財調査修復研究グループ主幹研究員の雨森久晃さん(59)の姿があった。右手のメスで、ブリキ製の車の玩具にこびりついたさびを丁寧に取り除いていく。

 玩具は東日本大震災で津波被害に見舞われた民俗文化財で「必要最低限の修復で次世...

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