野球のWBCで日本は連覇を逃したが、このスポーツの醍醐味(だいごみ)を見せつけてもくれた。ファンの盛り上がりは県勢2校が出場するセンバツ高校野球に引き継がれ、来週にはプロ野球が開幕する。春分の日も迎え、まさに球春到来である
▼明治初期に伝来した野球の人気は根強い。スポーツ庁による昨年末の世論調査がある。過去1年で野球を体験した人は全年代の1・8%にとどまる一方、観戦した種目としては他を圧倒した
▼テレビなどでの観戦はプロ野球が回答者4万人の47%に上り1位で、高校野球が2番目だ。現地観戦でもプロ野球が最も多く、高校野球はJリーグに次いで3位だった
▼これほどの大衆スポーツでありながら、いまさら目からうろこが落ちるような話題を目にした。東北を拠点とする河北新報のサイトに載っていた。見出しが目をひく。「『盗む』『殺す』野球の物騒な言葉に疑問を抱いた-」
▼宮城県立名取北高の野球部員が、野球特有の用語を見つめ直したという記事だ。野球ではしばしばアウトを取ることを「殺す」、取られることを「死ぬ」と表現する。刺殺、挟殺プレー、死球も平気で使う。「塁を盗む」や犠牲バントなども考えてみれば大仰だし、打撃、本塁、遊撃などは軍隊の臭いがする
▼「盗んだり、刺したり、殺したりして褒められるスポーツは野球だけ」と部員は代替用語を考案中だという。柔軟な感性がみずみずしい。高校野球の丸刈り頭が当たり前でなくなったように、変化は大切にしたい。
