高校の野球部は白球を追いかけるものと思っていたが、そればかりでもないようだ。南魚沼市の塩沢商工高校野球部は、顧問の教師と協力し、遠征でバスに乗る時間が選手のパフォーマンスに及ぼす影響を調査した
▼バスの乗車時間を想定して、部員たちは椅子にじっと座る。その前後で運動能力を比較した。座っている時間が長いほど、立ち幅跳びなどの数値は悪くなったという。長距離の移動は瞬発力を低下させると結論づけた
▼想像できる結果だが、はっきりと数値で証明した。これを基に移動距離ごとの目安を決め、遠方の球場は「前泊要推奨地域」とし、近くても「前泊検討」などと提案した
▼試合前とはいっても、仲間同士で同じ宿に泊まり、先生も交えてワイワイやりたい-。選手6人の小さな野球部の部員たちには、そんな思いもあったかもしれない。和気あいあいとした様子が目に浮かび、ほほ笑ましい
▼県内では先月、高校の運動部の監督による生徒の指導死が認定された。調査報告書によると、監督の教員は度重なる𠮟責など行き過ぎた指導をしていた。それが若い命を奪った。信頼関係はなかっただろう。生徒はただ恐ろしかったに違いない。指導者の責任は重い
▼塩沢商工高野球部の顧問は先の研究について「公立校が勝つため、生徒たちと何ができるか考えた」と話す。みんなで話し合い研究の結果を導いた。「本業」では春の大会に合同チームで出場し、2回戦で敗れた。考える力を生かし、夏は飛躍できるか。
