ランドセルを使ったことがない、と言うと驚かれる。母校の小学校にはリュックサック型の指定かばんがあった。同様のかばんを使っていた人の投稿が本紙に載り、懐かしく思い出した
▼今のように種類豊富なランドセルがあったなら、選びきれなかったかもしれないと投稿者はいう。近年のランドセルの高額な値段も憂いていた
▼地域の商店で買える指定かばんは軽くて安く、どの家庭にも平等で、優しくもあった。そもそも小学校でランドセルが使われるようになった背景には、平等の理念があった
▼発祥は明治時代、華族の子弟らが通った学習院とされる。馬車で通学したり荷物を使用人が運んだりまちまちだったが、学用品は自分で持ってくるべきだと改められた。このときに採用された軍隊用の「背のう」がルーツになったと、ランドセル工業会のサイトにある
▼来春に向けランドセル選びをする「ラン活」商戦が早くもピークだ。色やデザインは多彩で、パーツを選べるオーダーメードの組み合わせは、各社数十万通り、数百億通りともいわれる。「出遅れたら完売する」「個性は大事だが他の子と違いすぎるのも心配」。SNSには情報が飛び交い「ラン活疲れ」の声も
▼わが子のラン活でも迷ったが、何年かたった今、かばんの違いを気にすることはない。成長につれ興味や悩みは移りゆく。あっという間に大きくなり、そのうち就活に悩んだりするのかな…。通勤時にすれ違う1年生は、どの子も等しく輝いていてまぶしい。
