今月上旬に東京で開かれた東京バレエ団の公演「かぐや姫」は圧巻の演出で引き込まれた。2日間で3公演、各2千人の観客が沸いた
▼演出振り付けは新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)の専属舞踊団「Noism Company Niigata(ノイズム)」の芸術総監督で、振付家の金森穣さんだ。かぐや姫は来年フランスのオペラ座で上演される
▼多くの海外公演をこなす東京バレエ団だが、オペラ座での日本人振付家による公演は初めて。金森さんについてバレエ団関係者は「振付家として稀有(けう)な存在」と認める
▼金森さんが創り上げたノイズムは存続の岐路に立つ。芸術監督の任期の上限を定めた制度で新潟市と折り合いがつかず昨年末、金森さんは来夏での芸術監督の退任を表明した。後任次第で、ノイズムは新潟市での活動を終える可能性が高い
▼ノイズムは日本初の公立劇場専属舞踊団として2004年に発足した。これまでも財政難の市が年間約5千万円を助成する意義が問われてきた。ただ自治体事業として「ノイズムはコスパがいい」との見方もある。単純比較はできないが、金沢市のオーケストラ・アンサンブル金沢は市と石川県が年間約4億円を支援する
▼りゅーとぴあでのノイズムの公演はおおむね入場率が6~9割で、観客の3割近くが新潟市外からだ。ノイズムは市が20年以上かけて育てた文化的財産といえるが、その実像を足元の市民が広く理解しないまま、手放すことになってもいいのだろうか。
