春は新しいことを始めるのに適した季節。迷った末に、振り込みなどの取引がスマートフォンで可能なネット専業銀行の口座を相次ぎ開設した。多彩なサービスに魅力を感じていたからだ

▼デジタル技術の進展で利便性は高まった。買い物などでポイントがたまれば1ポイント1円として口座に入金できる。別のネット銀は残高が一定額以上などの条件を満たせばJRの運賃割引券が届く

▼何より他行への振込手数料が無料になるのが、県外で学ぶ子どもに毎月仕送りする身としてはありがたい。これまで利用してきた地銀にはないサービスだ。いわば生活防衛のための開設でもある。地銀を応援したい思いはあるが、その残高は次第に減っていく

▼開設に至るまでは不安だった。スマホにアプリをダウンロードしパスワードなどを設定する。ネット銀には店舗がない。運営コストを減らすためだ。相談しようにも窓口がなく、もしもつまずいたとしてもコールセンターしかない。ただこうしたハードルは若年層であれば軽く飛び越えるだろう

▼ネット銀のビジネスモデルは個人から預金を集め、住宅ローンなどの金利収入を得るのが主流とされる。一方で「金利のある世界」となり、預金獲得競争は激化する。全国的にネット銀も、中小企業や新興企業など法人との取引を増やしているという

▼現在、地銀は好決算だが10年後はどうか。ネット銀の伸長は地域に根付いた金融機関の脅威になるのか。利便性を享受しながら、一抹の不安も感じている。