多くの人に、一斉に情報を伝えるにはどうすればいいだろう。古くからあるのはのろしか。時刻を伝える太鼓や火事を急報する鐘もあった。それがぐんと進化したのがラジオ放送である

▼120年前に当たる1906年のこと。クリスマスイブの晩、米マサチューセッツ州の沖合を通っていた船の無線通信士は、受話器から聞こえてきた人の声やバイオリンの演奏に驚いた。発明家のフェッセンデンが実験局から送信したもので、これが世界初のラジオ放送と伝わる(「20世紀放送史」)

▼日本でもラジオ放送は多くの人に親しまれ、音楽やスポーツといったさまざまな分野の番組が制作されてきた。語学講座も人気で、特にNHK第2放送は多彩な言語がそろう

▼当方も中高生の頃に英語学習で世話になった。毎日少しずつ進むので理解が追いついた。イラストに添える英文を考える懸賞や投書欄を通し、多くの人とつながる感覚も好きだった

▼その第2放送が今月29日深夜に幕を下ろす。NHKは3波あるラジオ放送を、AMとFM一つずつに再編する。経営の合理化が背景にあり、語学番組の多くはFMに移る。英語は朝の放送もあるものの、他の言語は全て午前1時、2時台だけの放送になる

▼NHKはスマートフォンのアプリ活用を勧める。いつでも聞き直せる利点があり、うなずける面はある。ただかつて、語学番組をテープに録音するようになり、つい聞くのがおろそかになった身としては、定時に耳を傾ける習慣も大事と思う。