
2020年に完成した工房でろくろに向かう押味玖弥呼さん=新潟市秋葉区滝谷本町
県内には人々の暮らしや地場の産業を支えるあまたの職人がいる。連綿と受け継がれた技術を次代につなごうと、日々工夫を凝らしながら、奮闘を続けている。今に息づく伝統工芸などの担い手を紹介する。
新潟市秋葉区新津地区は、市街地近くに豊かな里山が広がる。石油の一大産地としても知られた里山のふもとに、1858(安政5)年から新津焼を作り続けてきた西潟製陶所「もえぎ陶房」がある。約40平方メートルの小さな工房で、6代目の押味玖弥呼(くみこ)さん(49)が黙々とろくろに向かい、土と“対話”しながら形作っていく。
新津焼は、この里山で取れる土が主な材料。黒っぽい3点の模様も特徴的だ。かつては窯の燃料に地元の石油を使い、複数の窯元が熱気とともに、日常生活に寄り添う品を生み出してきた。
西潟製陶所も、戦前は30人を超える従業員が勤める規模だった。長年食器やとっくりのほか、花卉(かき)生産に使う植木鉢、隣接する阿賀野市の安田瓦に付ける家紋などを手掛け、地場産業を支えてきた。新潟医科大付属病院の注文で、土鍋を大量に焼いた記録も残る。
だが、...
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