九州の佐賀と聞くとあの曲が頭の中に流れる。♪S、A、G、A さ、が-と繰り返すあの曲。お笑い芸人のはなわさんが佐賀県の田舎の様子を面白おかしく自虐的に歌ったが、もちろん佐賀にも魅力は多い

▼有田焼などの焼き物は世界的にも有名だ。有明海ののり、嬉野温泉もよく知られている。吉野ケ里遺跡は邪馬台国だったとの説もある。幕末から明治には大隈重信ら多くの人材を輩出した

▼そんな佐賀で最近よく見られるものがある。陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイだ。昨年7月に開設された佐賀駐屯地に17機が配備された。訪れた日は頻繁に離着陸を繰り返していた。想像していたより機体も爆音も大きい

▼オスプレイは米軍による開発段階から事故が相次いだ。その配備は、九州や沖縄の防衛力を強化する「南西シフト」の一環で、背景には中国の海洋進出や台湾有事への懸念がある。新潟にいると実感しにくいが、当地では駐屯地開設や部隊増強などが急速に進む

▼3月31日には熊本市の健軍駐屯地に長射程ミサイルが配備され、日本が初めて反撃能力を備えた。ただ地元では「敵の標的になる」と不安が根強い。「国防に関わる」として防衛省が住民説明会を開かないことも反発を呼ぶ

▼国民の安全と安心を守るための防衛強化が、国民の不安を招く矛盾がある。戦後日本の安全保障政策の大転換だ。はなわさんが佐賀出身を隠す芸能人をちゃかして歌うように「公表してねえ」で済む話ではない。国民軽視は許されない。