待ちわびた桜の季節が到来した。上越市では新潟市に続いて開花が宣言され、きょうから始まる「高田城址公園観桜会」に間に合った。今冬の大雪で枝の折れた木々も目立つが、多くのつぼみが膨らんでいる

▼全国には58本の桜の標本木があり、県内では新潟地方気象台が新潟市中央区の鳥屋野潟公園のソメイヨシノで開花状況を観測している。一方、上越市では高田測候所の廃止に伴い、市民団体「エコ・グリーン」が独自に城址公園の桜を調査木に選び、2009年から開花を宣言している

▼気象庁によると近年、老木化で正確な観測が難しくなったことなどを理由に、多くの標本木が若木に入れ替えられている。新潟市の標本木も変更が検討されている

▼高田で観測している木は樹齢が100年を超える。ソメイヨシノとしてはかなりの老木だ。そのためか周辺の若木に比べて開花が遅い。ことしもなかなか咲かず、団体メンバーが気をもむ姿が見られた

▼しかし、世代交代に向かう気配はない。メンバーは「この木は高田の桜のシンボルだから」と口をそろえる。調査木の幹回りは、公園内では最も太く352センチもある。圧倒的な存在感だ。団体が市と連携して肥料を施すなど地道な保全活動により、今も成長を続けているという

▼どっしり構える老木を、近頃めっきりくたびれ気味のわが身と重ねながら公園を歩いた。老木から新しい枝が伸び、小さなつぼみを付けていた。少しくらい開花が遅くたっていいじゃないかと思えてきた。