値引きシールが貼られた消費期限の近い食品を見ると、かつてテレビCMで見た「もったいないおばけ」が頭をよぎり、つい手が伸びる。食品ロスの削減に貢献した気分なのだから、ケチというなかれ

▼最近はガソリン価格も気になる。運転しながら、車の給油ランプとガソリンスタンドの価格表示を交互に見やる。次のスタンドの方が安いかもと素通りすると、不思議なほど予想は外れ、肩を落としてばかり。やはりケチか

▼米とイランが停戦で合意したけれど、原油の安定供給には不安が残る。発電用の液化天然ガスや石油を節約する窮余の策として、政府は1年限定で石炭火力発電の稼働を増やすことを決めている。しかし、石炭は二酸化炭素の排出量が多く、脱炭素に逆行する

▼そのご時世に捨てるエネルギーがあるのはもったいない。東京電力管内で先月初めて実施された出力制御のことだ。太陽光など再生可能エネルギーの事業者に一時的な発電抑制を求めた

▼発電量と消費量のバランスが崩れると停電に陥る恐れがあるためだ。その仕組みは理解するものの、原発が営業運転すれば、再エネの電力が抑制される可能性はさらに高くなるだろう。エネルギーロスと呼ぶべきか

▼お天道さまはさんさんと輝き、風は強く吹いていても、脱炭素や安全性で優位な面もあるエネルギーが使われないのは忍びない。送電網の強化や蓄電池の開発といった対策に国が本腰を入れるべきは今である。このままではもったいないおばけが出てくる。