藤原辰史さん
 藤原辰史さん

 韓国第2の都市、釜山を訪れた。飯がうまい。豚骨スープのうまみが体に染みるデジクッパや内臓クッパにせよ、アワビがゆにせよ、すべてがソウルで食べたものよりも味が濃い。さまざまな味覚を持って各方面からやって来る人々を満足させるために、味が最大公約数化して優等生化するソウルや東京と比べ、非首都圏のクセのある味わいはなんとも頼もしい。

 街の中心部から少し離れると漁村が点在している。小さな漁船がひしめく港から対馬方面を眺める。黄砂で青空にモヤがかかっていたが、空と海と岩のつくる景観にしばらく酔いしれた。

 なによりも、釜山の歴史のダイナミズムが旅全体を引き締めてくれた。歴史があらゆるところで旅行者の目の前...

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