冤罪(えんざい)被害者の早期救済が再審制度見直しの原点だ。実効性を担保できる内容でなければならない。
刑事訴訟法改正案を審査する自民党の法務部会と司法制度調査会の合同会議が開かれた。再審制度見直しを巡り、法務省は検察抗告の原則禁止を刑訴法の付則に盛り込んだ再修正案を提示した。
しかし、自民側から「本則に書くべきだ」との異論が相次いで了承に至らず、協議を継続することになった。
再審を巡っては、検察抗告の是非が最大の焦点となっている。地裁や高裁で再審開始が決定されても、検察が不服として繰り返し抗告するため、審理の長期化を招いてきたからだ。
法務省は当初、再審開始決定に対する検察抗告を一切制限しない案を示した。確定判決が裁判所の一度の判断で揺らぎ「法的安定性が害される」などの理由だったが、大きな反発を招いた。
抗告後の審理期間を1年以内とすることを柱とする修正案も理解を得られず、法務省は再修正を進めていた。
関係者によると、再修正案では、抗告をしてはならないと付則に明記された。
法務省が抗告の原則禁止まで譲歩した格好だが、見逃せないのは、抗告禁止を明記するのが法案の本則ではなく、付則とされたことである。一般的に付則は例外的な位置付けとされる。
法務省は、内閣法制局の意見も踏まえて、付則への記載にとどめたというが、説得力に乏しいと言わざるを得ない。
検察の権限を制約する規定は、法律の主要な部分に書きたくないとの意識が働いているとすれば、問題である。
一方、自民側の「抗告禁止を明確化するためには、本則への記載が欠かせない」とする主張は、理解できる。
付則には「再審開始決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な理由があるときはこの限りではない」とも記載された。
検察が例外的に抗告できる余地を残す規定が書かれた点も気がかりである。
法務省は、「十分な理由」に該当するかどうかは検察が判断するとの考えだ。検察の一存で抗告が可能となるのであれば、法改正の意義が問われる。
自民側からは、抗告が本当に必要か客観的に判断することを法文に書き込むよう求める声が上がったという。検討の余地があるのではないか。
冤罪被害の早期救済には一刻の猶予も許されない。実効性のある法改正を早急に行うべきである。
今国会に改正案を提出するには、5月中旬までの閣議決定が期限とされている。
政府と自民には、真摯(しんし)に協議を重ねてもらいたい。
