命が奪われたことが残念でならない。深刻な事故がなぜ起きたのか、生徒の安全を守る体制に緩みはなかったのか。原因を徹底究明しなければならない。

 新潟市中央区にある北越高校の男子ソフトテニス部員20人が乗ったマイクロバスが、福島県内の磐越道で事故を起こした。

 対向車線に投げ出された生徒1人が亡くなり、他の生徒17人が重軽傷を負った。運転手と、事故に巻き込まれたワンボックスカーの2人も負傷した。

 バスは練習試合に向かう途中で、ガードレールなどに衝突した。

 自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで逮捕された、運転していた無職の容疑者は「速度の見極めが甘かった」と供述した。居眠りは否定したが、現場に目立ったブレーキ痕がなかった。

 旅客運送目的の車を運転するのに必要な2種免許を所持していなかったことも判明した。

 事故後、五泉市のバス運行会社「蒲原鉄道」は、事故があったバスはレンタカーで、蒲原鉄道の営業担当者が手配したと説明した。

 運転手にも営業担当者が知人を介し依頼したが、直接の面識はなく、事故歴も把握していなかった。バスを借りる際には、運転する本人の免許証ではなく、営業担当者の物を提示したという。

 命を預かる責任を十分感じていたか、疑問を抱かざるを得ない。

 また、レンタルしたバスは自家用の白ナンバーで、有償で運転手も手配した場合、「白バス」行為として道路運送法に抵触する恐れもある。蒲原鉄道は対価の受け取りを否定しているが、慎重な調査が求められる。

 バスの手配を巡り、蒲原鉄道と高校の主張が異なっている。

 蒲原鉄道は、高校側から予算を抑えたいとの要望を受けてレンタカーで対応し、運転手も依頼されたと述べた。

 高校側は「バス運行を依頼した。外部の運転手やレンタカーではないと思っていた」としており、隔たりは大きい。

 齟齬(そご)が生じた一因には、契約段階の不備が挙げられる。

 高校側は、遠征で利用する業者の選定や手配を各部の顧問の裁量に委ねており、今回の蒲原鉄道との取引では見積書を取らず、書面も事前に交わしていなかったことを認めた。

 安全性を判断する機会を逸した格好で、重大な問題だ。

 ただし、これは決して人ごとではない。安全管理が現場任せになっていないか、遠征の送迎が善意頼みになっていないか、全ての学校で点検する必要がある。

 事故を受け、県教育委員会と県は公私立高校に、貸し切りバス業者との契約は管理職も確認するなどの対策を求めた。関係者は生徒の安全を最優先に置き、再発防止へ知恵を絞らねばならない。