出荷間近の羊数十頭が放し飼いにされているパスチャーでは、緑鮮やかな草をはむ家畜たちの元気な鳴き声が響き渡った=2025年11月、オックスフォード(撮影・ケビン・フェディー、共同)
 出荷間近の羊数十頭が放し飼いにされているパスチャーでは、緑鮮やかな草をはむ家畜たちの元気な鳴き声が響き渡った=2025年11月、オックスフォード(撮影・ケビン・フェディー、共同)
 ユーチューブ動画のため自撮りをしながら車を走らせるバード。「若い世代の視聴者が増えているのがうれしい。農業の未来のためにもね」と相好を崩した=2025年11月、オックスフォード(撮影・ケビン・フェディー、共同)

 我慢の限界だった。

 「農場主は平気でニュージーランドの環境を汚している。重罪人だ」。マスコミや世間から非難の声が押し寄せ、政府はメタンガス削減を強く迫ってくる。畜産農家のアリステア・バード(41)は意を決した。「農家は下を向いておとなしく暮らしがちだ。でも、誰かが動かなければ」

 日々の農作業を動画にまとめ、フェイスブックで発信した。「地道に、懸命に働く姿を見て、農業のリアルを知ってほしかった」。反響は大きく、実情をあまねく知らせる旗振り役として多くの同業者を勇気づけた。

 その後、畜産農家の境遇は改善したが、予断は許さない。「先々の不安は消えないけど、応援してくれる人は増え続けている。それが大きな支...

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