昼時に信濃川沿いのベンチでコンビニおにぎりを食べていると、南西の空に彩雲を見つけた。雲が透明感のある虹色に染まっている。これが幸せを呼ぶ雲かと少し高揚しながら調べてみると、それほど希少な現象でもないと知る

▼太陽光が雲をつくる水の粒に当たり、粒を回り込んで進むと、太陽の光が色ごとに分かれて見えるのだという。白状すれば、??である。自然の不思議は、凡庸な頭では理解できないことも多い

▼本紙データベースで彩雲を調べていたら、37年前の投稿が目に留まった。小学生と川でニジマス捕りをしていて、彩雲を初めて見たという35歳主婦からの投稿だ。彩雲は「大きな喜びの前兆」だと知り、うれしくなったとつづる

▼ふと思う。72歳になった女性は、お元気だろうかと。魚捕りに興じた子どもも40代だ。人生の山を越え谷を越えてきたであろう。遠い日に見た彩雲を、思い出すことがあるだろうか

▼いつとなく、いろんな人が空を見る。健康な人も病む人も、裕福な人もそうでない人も。空も雲も、誰のものでもない。思うがまま誰もが見上げられる。何もないかもしれないし、思いがけない自然美を目にするかもしれない

▼雲を見て、畑や花壇の水やりを考えたり、ふわふわの甘いものを連想して食べたくなったり。荒井由実さんの「ひこうき雲」が頭に流れるときも…。日本列島は西から順次梅雨入りしている。本県も近そうだ。暗い雨空が広がれば、しばらくはぼんやり雲を眺める風情でもなくなる。