「かずやんち」で笑みを交わす尾野一矢(左)と介護福祉士の大坪寧樹。夕食前のくつろぎのひととき=2026年3月、神奈川県座間市
 「かずやんち」で笑みを交わす尾野一矢(左)と介護福祉士の大坪寧樹。夕食前のくつろぎのひととき=2026年3月、神奈川県座間市
 尾野一矢(左から3人目)の実家で彼の誕生日を祝う(左から)母のチキ子、父の剛志と大坪寧樹(右端)=2026年3月、神奈川県座間市
 尾野一矢の暮らしぶりを支援者らに向けて発信する「かずやしんぶん」。大坪寧樹らが編集している=2026年3月、神奈川県座間市
 「自立とは自分独りで立つことではない」と考える大坪寧樹(右)。尾野一矢の誕生日を共に祝った=2026年3月、神奈川県座間市

 神奈川県座間市のアパートの一室「かずやんち」で、大坪寧樹(57)は夕食のカレーを皿に盛り、尾野一矢(53)に声をかけた。「ご飯にしようか」

 一矢はしばらく食べるとスプーンを置き「おなかいっぱい。もうやめとくー」とぼそり。「夕飯前に煎餅を3枚も食べるからだよ」と笑う大坪に、にやっと返した。

 一矢には重い知的障害がある。

 2016年7月、相模原市の「津久井やまゆり園」で発生した障害者施設殺傷事件の被害者45人の1人。重傷から回復後の2020年に施設を出て、介護福祉士の大坪らの支援を受けながら1人で暮らしている。

 (敬称略、筆者・大村響、写真・京極恒太=共同通信/年齢や肩書は新聞向けに配信した2026年5...

残り1869文字(全文:2168文字)