発明家エジソンは「私たちの最大の弱点は、あきらめることだ」と言った。精神科医のフロイトは「断念の仕方さえ身につけば、人生はけっこう楽しい」と達観した。正反対の諭しになるが、どちらももっともそうに聞こえる
▼偉人らの真逆の格言を対比させるペズルさんの「どっちもある名言集」から引いた。「現実を見ろ」の一方で「夢を見ろ」。「逃げるな」があれば「逃げろ」も。物事は表にも裏にも真理があるのだと数々の言葉が示している
▼人間も同じように、長所と短所、強みと弱みは、捉え方によって入れ替わる。先日の本紙地域面に載った佐渡市の16歳の女性とお母さんの話題も、そんなことを教えてくれる。気持ちを明るくさせてもらった
▼特別支援学校に通う女性は幼いときから物事への強いこだわりを持っていた。自閉スペクトラム症の特性で、ときに生きづらさを招く。ただ、関心をまちのごみ拾いに向けた女性は、際立った集中力と献身性を発揮するようになる
▼お母さんとの放課後や休日のごみ拾いは、6歳から始めて10年になった。対人関係を築くのが苦手だけれど、ごみ拾いをきっかけに地域の人々とも交流を重ね、自分からあいさつできるようになった
▼女性の興味を理解し、意欲を尊重し、寄り添い続けるお母さんが、女性の持ち味を引き出して輝かせているように見える。障害があってもなくても、そんな伴走者がいればどんなに心強いか。持てる力を生かす場があることが、どんなに大切なことか。
