平和への願いを込めた曲を披露した被爆ピアノの演奏会=25日、長岡市千秋3
平和への願いを込めた曲を披露した被爆ピアノの演奏会=25日、長岡市千秋3

 太平洋戦争中、米軍による広島市への原爆投下で被害を受けた「被爆ピアノ」の演奏会が25日、新潟県長岡市の長岡リリックホールで開かれた。市民有志ら10人が出演し、思い思いの曲を演奏。訪れた約250人は、平和を祈る旋律に耳を傾け、会場は厳かな雰囲気に包まれた。

 市民団体「長岡アジア映画祭実行委員会!」と、長岡市出身の映画監督五藤利弘さん(52)が中心となって企画。五藤監督が制作し、昨夏に公開した映画「おかあさんの被爆ピアノ」も合わせて上映した。

 演奏には、被爆ピアノを修理して全国で演奏会を開く調律師で、被爆2世の矢川光則さん(69)=広島市=が所有するアップライトピアノを使った。映画の物語のモデルでもあるピアノだ。

 出演者は、クラシックやポップスなどを1人1曲披露。優しく、願いを込めるように奏で、温かい音色を響かせた。被爆ピアノとの出合いや、平和への思いも語った。被爆ピアノをテーマとする詩の朗読に合わせた演奏もあった。

 初めて聞きに来たという長岡市学校町2の会社員女性(25)は「普通のピアノにはない違いを感じた。全国を巡る矢川さんの活動も素晴らしいと思った」と話した。