11月9日午後4時過ぎに新潟市役所などに問い合わせが相次いだ「謎の揺れ」。新潟日報社にも読者から照会があった。「もっとあなたに特別報道班」(もあ特)が揺れの原因を本編に続き、少しゆる~く探ってみた。
[本編はこちら]
火山の噴火や戦闘機以外にも衝撃波が起きる現象はある。隕石(いんせき)だ。2013年には、ロシアに落下した巨大隕石がごう音を響かせ、大気を激しく揺らした。窓ガラスが多く割れ、けが人が出るなど被害をもたらした。
隕石による衝撃波で揺れた可能性はないだろうか。「ありません」。国立天文台の渡部潤一上席教授は否定する。「衝撃波を地上にもたらす物体が落下したら太陽のように明るく、誰でも気付く」と解説する。
天文愛好家でつくる日本流星研究会にも情報は寄せられていない。
また、米国では新型天然ガス「シェールガス」の採掘で地震が起きたという説が出ている。新潟県は天然ガス生産が盛んだ。しかし、秋田大学大学院国際資源学研究科の大場司教授は「周辺で地震が観測されていない。天然ガスの生産や圧入による揺れではない」と見解を話した。
原因に迫ることができず気落ちする取材班はつい遊び心に逃げてしまう。
「UFOが起こした振動じゃないか?」
石川県羽咋(はくい)市はUFOで地域を盛り上げている。「宇宙科学博物館コスモアイル羽咋」は「常に目撃情報を全国から募っているが、この時間の情報はない」という。
老舗オカルト雑誌「月刊ムー」の三上丈晴編集長が所長を務める「国際未確認飛行物体研究所」(福島市)にも情報は寄せられていなかった。ただ、研究所は「UFOはマグマのあるところに飛来しやすい。火山と親和性が高いから、地震も関係ないことはないのでは」と、独自の見解を教えてくれた。
UFOにインスパイアされた取材班は調査を続ける。「となりのトトロで、ネコバスが走ると疾風が起きていたよな?」。大人には見えないけど、子どもには見えるファンタジーだ。
新潟妖怪研究所の高橋郁丸(ふみまる)所長によると、「家鳴(やなり)」=イラスト参照=という妖怪がいるという。「小鬼がたくさんで家を揺すって人を驚かします。今回はどうでしょうね」

また、ツイッター上には9日以降、「地震の前兆か?」などの書き込みが散見されている。
新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「人間は因果関係のないところに因果関係を見いだす。特に不安と結びつける傾向がある」と指摘。最近は地震が頻発していることから「予兆と結びつけるのだろう。当たっているものもあれば、大外れもある。心底信じてしまうと、オカルトや陰謀論になる」と注意を呼びかける。