BSNラジオなどでおなじみ、ラジオパーソナリティの立石勇生さんのコラム「タテのくさび~立石勇生のアルビリポート」が始まりました。スポーツパーソナリティでもある立石さんが、アルビレックス新潟の選手たちの魅力や素顔、秘話などを紹介します。

×    ×

 今月からコラムを担当することになりました。

 皆さんのアルビ愛がもっと深まるように「くさびのパス」を入れ続ける心構えで、取材で得た情報などを書かせて頂きます。

 初回は我らが指揮官、松橋力蔵(りきぞう)監督の求心力について。

 私は月に数回クラブハウスでの取材を行っています。その際に必ず参加をする監督の囲み取材は楽しみの一つです。質問を受けた際は必ず質問をした記者に正対し、手を組んで話す姿はとても紳士的。そして豊富な語彙(ごい)力にユーモアを交えながらチームの話を聞かせてくれます。

 監督の話を面白いと感じているのは、選手も同じのようです。以前、複数の選手から「リキさん(松橋監督)のミーティングは面白い」と伺ったことがあります。

新体制について会見する松橋力蔵監督=2023年1月、新潟市中央区

 監督は読書が趣味で、クラブハウスにはネットで購入した本が頻繁に届きます。その本から得られた知識をサッカーに応用して選手たちに伝えていくといいます。

 とある日のミーティングでは、宇宙へ飛び立つロケットについて触れたそう。ミリ単位で計算された部品によって完成するロケット。そのうち一つでも僅(わず)かなズレが生じたら打ち上げは失敗してしまう。それを僕らのチームに例えるなら…といった話から信頼関係の大切さを説いたとのこと。

 堀米悠斗選手は「もっと聞きたい」と言い、鈴木孝司選手は「毎回名言が飛び出す」と表現します。通常、ミーティングは眠たくなりそうなものですが、力さんは違う。

 選手たちが常に前向きに取り組めるように、伝える言葉一つ一つにも魂が宿っているのです。

 印象深い話を一つ。今年3月のことですが、大いに盛り上がった野球のWBCについてお話を聞かせて頂いたことがありました。

 普段はサッカー以外のスポーツを見る機会は少ないそうですが、このときは家族でテレビ観戦を楽しまれていたそうです。特に準決勝メキシコ戦では大興奮、一緒に観戦していた奥様は涙していたと教えてくれました。

練習中、選手に指示を出す松橋力蔵監督=2023年1月、高知市

 メキシコ戦で松橋監督が特に着目したのは侍ジャパンのベンチの様子だったといいます。

 劣勢の時には味方を鼓舞し、良いプレーが出た時には喜びを全身で表現する。その姿を見て「あの雰囲気は相手に威圧感を与える効果がある」と感想を述べられました。

 実は監督就任から間もない昨季の序盤、クールな印象だった松橋監督は、秋山裕紀選手から「僕らのゴールが決まっても嬉しくなさそうだなと感じていましたよ」と言われたことがあるそう。

 自身の振舞いがもたらす周囲への影響の大きさを感じる一言だったそうです。後に監督は、チームが得点した時の感情表現を大きくされました。そんな松橋監督にとって、WBCは大いに刺激を受けたことでしょう。

 「ニイガタ超最高!!」

 昨年10月23日、J2優勝セレモニーで発したあのフレーズも、サポーターだけでなく選手へ届けたかった大きな思いが込められた一言だったのではないかと振り返ると感慨深いです。

 こんな魅力的な監督、どこを探してもいないのではないでしょうか。

◎立石勇生(たていし・ゆうき)1979年11月20日生まれ。新潟市秋葉区出身。2003年よりラジオパーソナリティとして活動。当時から継続してアルビレックス新潟を取材。合わせてテレビ・ラジオ中継やイベントMCなどを担当。現在はBSNラジオで毎週土曜日の長尺生放送「SUNNY SIDE(サニーサイド)」にて、監督や選手の声や試合情報などを発信中。

立石勇生さん(本人提供)

選手名鑑を掲載中

写真特集を掲載中