節分の夜、幼い頃はどんなに寒くてもガラッと窓を開け、「鬼はぁ外!」と大声で叫びながら外に向かって豆をまいた。
まくのは殻付きの落花生。翌朝は窓下に落花生が落ちている家が多かったから、それが当たり前だと思っていた。
だが学生時代、関東出身の友人に「まくのはいり豆じゃないの?」と驚かれた。
落花生なら雪の上でも見つけやすい。殻をむくから拾って食べられ、粗末にしなくて済む。友人の指摘に、とっさの思いつきで新潟流の素晴らしさを力説した。
その豆まきも、子どもが成長すると遠ざかり、いつの間にか夕飯にもなる「恵方巻き」が節分の主役に代わった。
太巻きずしを、その年の福の神である歳徳神(としとくじん)がい...
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