ことしは、1972年に田中角栄氏が県人初の首相に就いて50年の節目だ。就任直前の著書「日本列島改造論」を読み返して、改めて目についた点があった。
「明治百年」の記述が随所にあることだ。明治以来の中央集権による工業化、都市化で生じた過疎、過密などのひずみを是正するのが政治の役割と強調していた。
「明治百年を節目に、都市集中の奔流を大胆に転換し、活力を列島の全域に向けて展開する。都市と農村、表日本と裏日本の格差は必ずなくすことができる」
田中氏はこう訴え、工業の再配置、新幹線や道路網、情報通信網の整備などが必要と説いた。
キャッチコピーは「明治百年は国土維新」。戊辰戦争で敗れ、「賊軍」と差別され...
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