
2023年も7月を迎え、早くも折り返しだ。本格的な夏の到来に向け、夏バテ知らずな体づくりに努めたい。脾胃(ひい=消化器系の臓器のこと)の働きを強化する穀物由来の食物繊維を豊富に取り、暑い夏を乗り切っていこう。
「梅雨明け後に気を付けたいのは、体に湿気を残さないことです」とは、国際薬膳食育師の髙津もろみさん(52)。余分な水が排出されないと、のぼせ体質の人は体の中が蒸し風呂状態になり、熱中症になりやすい。また冷え性の人が湿気をためると、むくんで冷えが増し、夏バテしやすくなる。「おなかを整え、余分な水分を排出して体調を正常にする。これが夏の養生の一大テーマです」
そこで注目したいのが、日本書紀や古事記にも登場する、「いつくさのたなつもの(5種の田根つ物=五穀)」。一般的に米・麦・粟(あわ)・豆・黍(きび)(または稗(ひえ))を指し、「五穀豊穣」は文字通り、五穀が豊かに実ることをいう。生命力が旺盛で、いにしえより主食として私たちの食卓を支えてきた食材だ。
「食物繊維が豊富な五穀は整腸作用のある脾胃に働きかけ、胃腸を強化し消化吸収力を高めます。先人もその効能を、身をもって経験していたんでしょう」と髙津さん。
食物繊維豊富な穀物ほど糖質含有量が少なく、食後の血糖値の上昇を緩やかにしてくれる。また糖質や脂質、タンパク質の代謝を助けるビタミンB群や、代謝機能を維持する鉄分やマンガンなど貴重な微量ミネラルも含まれる。五穀の栄養素や効果効能を味方に、夏を健やかに楽しみたい。
夏バテ知らずで、暑い夏を乗り切るために役に立つようなレシピを国際薬膳食育師の髙津もろみさんに聞いた。...
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