寅(とら)年にちなんで、トラをモチーフにした展覧会を企画する美術館が目立つ。ウイルス禍で県外の会場には足を運びづらいけれど、ネットで公開された画像を見るだけでも楽しい。
日本には、野生のトラは生息していない。勇壮かつ神秘的なイメージで絵によく描かれるようになったのは、室町時代後期からという。悪鬼(疫病)をやっつけてくれる霊獣でもあったようだ。
画家は中国などから輸入された毛皮や絵画を参考にして描いたらしいが、姿は何だか猫っぽい。
庶民が本物のトラを観察できるようになったのは、明治期に動物園が設置されてから。地方では、移動型のものも人気だった。
戦後間もない1951年夏、新潟市の信濃川べりで本...
残り308文字(全文:608文字)